コロナ治療薬として速攻で承認されたレムデシビル。その製造元であるギリアド・サイエンシズ社(以下、ギリアド社)についてわかっていることを書いていきます。まず、ギリアド社はアメリカのバイオ系の製薬会社です。ホームページはこちら。
ギリアド社とブッシュ政権はとても仲良し
創業35年のギリアド社は今や世界第1,2位を争うバイオ企業です。「死の商人」と言われたラムズフェルド米国防長官は1997ー2001年にギリアド社の会長をしており、その後ブッシュ政権下で国防長官になりました。
国防長官時代もギリアド社の株を大量に保有してたそうです。ブッシュ政権下では新型インフルが大流行、日本含め世界中でタミフルがバカみたいに売れた時期です。
そのタミフルも、実はギリアド社の薬なのです。ブッシュ政権下で参謀だったジョージ・シュルツもギリアド社の役員で株を持っていたとされ、アメリカ政府とギリアド社の関係が伺えます。
※ウィキペディアより引用
たった3日で承認、異例ずくめのレムデシビル
レムデシビルはコロナが話題になってすぐの2020年5月に承認されました。その速さと言ったら聞いて驚け「たったの3日」。
もともとレムデシビルはエボラ出血熱用に開発された薬。その後アカゲザルを使ってSARSとMARSでも良さそうねとなり、コロナでも使えるのでは?な勢いで日本だけが早々と「承認」。
アメリカは承認ではなく緊急使用許可が出ただけでした。アメリカFDAが正式に承認したのは、2020年の10月。日本より5ヶ月もあとの話です。※詳しくは医師会の記事「レムデシビル」がわかりやすいです。
高すぎる薬価、標準治療で38万円
レムデシビルはエボラ出血熱用の薬であり開発には公費も使われたそうです。今回はそれをコロナに転用しただけ。新たに開発したわけでもないのに、薬の値段がやたらと高いのです。なんと1回100mlが63,342円。コロナ治療では5日間で6回使うので合計約38万円にもなります。
※添付文書より引用
ちなみに5日で治らない場合は10日処方します。トータル70万円弱・・・いくら公費負担で0円だからといっても、その公費は私たちの税金です。コロナ患者にレムデシビルを処方するたびに、1人あたり38万円の税金が消えていくのです。もし5類になったら保険が効いても3割負担で10万円超え。高額療養費制度を使っても3万超えです。風邪薬にこの金額を出せますか?
肝炎もHIVもおまかせあれ
ギリアド社は他の製薬会社がやらない領域をやるバイオ製薬会社です。
特にウイルス関連に力を入れてきており、レムデシビル以外にも、実は肝炎やHIVの薬を取り扱っています。勘のいい方はピンときたかと思います。そう、今まさに話題の肝炎とHIVなんです。
薬の値段でいえば、ギリアド社のC型肝炎薬「ソバルディ」も高くて1錠なんと6万円。しかもこれ、1錠飲んで終わりではなく、3ヶ月も服用しないといけない。となるとトータルで500万円以上はかかるわけです。アメリカでも1錠1000ドルとなり、議員、保険会社、消費者団体、薬剤給付管理会社などから多くの批判が出て値下げした、という過去があります。
肝炎の薬がよく効いたので売上激減
患者さんにとって、病気が薬で治癒するというのは本当に嬉しいものですよね。製薬会社も治癒を願って薬を作っているのだから「治癒すれば本望」かと思いきや、現実はそうではありません。
実際、ギリアド社の肝炎治療薬は効果抜群だったようで、C型肝炎市場は2015 年が 191 億ドルでピークだったのが2年後には半分以下に。治癒して患者が減れば、当然市場も小さくなりギリアド社にとっては売上激減という皮肉な結果になります。
この1件からもわかるように、製薬会社は病気が治る薬を作ると利益がダダ下がりになるのです。
今また、子どもの肝炎が流行り出してますよね。肝炎が減れば肝炎治療薬も減る。肝炎が増えれば肝炎治療薬が増える。ギリアド社が望むのは果たしてどちらでしょうか。
レムデシビルの公式資料はこちら
と、ここまで、レムデシビルの製造元であるギリアド社について、わかっていることをまとめました。最後に、レムデシビルの公式資料のリンクを貼っておきます。ツイッター含めネットではいろいろ誤情報もあります。
それをみて「ああ、これは添付文書に書いてあったな」と納得したり「え?さすがに承認申請書でこんなことまでは書かれてなかったと思うけど・・・」と疑問に思ったりできるのは、知識があればこそ。日本語なので小難しくてもザーッと一通りは読み把握しておくと、情報に踊らされることが減ると思います。
■レムデシビルの承認申請書(厚労省HPより)
■ギリアド社の肝炎薬についての解説記事はこちら
■志村けんさんのレムデシビル投与についての考察は「レムデシビルと志村けんと忽那医師」も参考にしてください。