コロナ軽症のための治療薬で健康な大人が死亡
軽症のコロナ感染者には「モルヌピラビル(販売名ラゲブリオ)」という治療薬があります。
去年の12月に承認されもうすでに半年になろうとしています。カプセルの薬のため自宅療養中の軽症コロナ患者にも使えるということで、期待のコロナ治療薬として登場しました。
ところが中村篤史先生によるとモルヌピラビルを服用したあとに亡くなった事例があると。(記事本文はこちら)
死亡したのは持病なし健康な40才女性で、亡くなるまでの経緯は
2月26日→寒気
2月28日→救急搬送でコロナ陽性が判明、モルヌピラビルを処方され帰宅
3月1日→夕方、血中酸素濃度が低下で入院
3月2日→深夜12時頃に死亡
モルヌピラビルは基本5日間、服用し続ける薬なのですが、この女性の場合は服用した翌日に血中酸素濃度が低下し、翌々日に亡くなるというかなり急な展開となっていました。
モルヌピラビルの副作用資料はどうなっているのか
ここで、モルヌピラビルの副作用疑い報告はどうなっているのか?気になりますよね。私はレムデシビルの副作用を調べた時にモルヌピラビルも気になって調べたんですが、、驚くことにモルヌピラビルの副作用報告資料はまったく「ない」のです。
コロナ治療薬も含めて薬の副作用疑い報告はPMDAの下記ページで確認できるのですが
しかし「モルヌピラビル」でも「ラゲブリオ」でも、検索しても全く出てこないのです。 症例が1例もないとかではなく「該当する副作用情報はありません」。つまり、そもそも資料自体がないのです。
さすがになにかの間違いかと思ってPMDAに電話したんです。それでPMDAの人も「え、そんなことはないと思うので、きっと検索のしかたが悪いかもしれません、こちらで探しますね」と言って探してもらったのですが、やはり「ない」と。
えええ??コロナ治療薬なのに副作用疑い報告の資料が一つもないの?とかなり拍子抜けしました。いつ頃資料が公表されるのか聞きましたが、それも未定だとのことです。40歳の女性が亡くなったのは3月2日だとすると、もう2ヶ月以上もたっているのに報告としては全く上がってないと。それが現状なのです。
※2023年3月時点ではPMDAに資料があります。この記事を記載した当初は医療従事者のみが閲覧できる市販直後調査のデータが出ていたことをあとから知りました。
モルヌピラビルは何人に処方されたのか
レムデシビルは副作用疑いが293例ありましたが、何名に処方されたのかは全くわかりませんでした。ところが、モルヌピラビル投与数はかなり詳しい資料がありました。都道府県別に約2週間おきにデータが更新されているではありませんか。しかも厚労省に!最新資料は4月30日。166,932人に処方されています。
ちなみに3月15日までの投与実績は117,564人です。40才女性の死亡例のみだったとしても12万人弱に投与して少なくとも1人が亡くなっている、ということになります。
副作用報告が出ないまま投与され続けている
問題なのは、モルヌピラビルが承認されてから今に至るまで、公的な副作用疑い報告が一切出てないけど、コロナ軽症者にはラゲブリオが今この瞬間にも処方され続けている、ということです。
40才女性が亡くなった事例も全くニュースにならないし、厚労省にもPMDAにも報告がない。つまり一般人も医療者も、モルヌピラビル一般投与後の副作用について知るすべが一切ないのです。PMDAの問い合わせ窓口の人は「12月に承認されたばかりなので、今は集計している最中なのかもしれません」と言っていましたがそれでは遅すぎませんか?
この40才の女性には9才と13才のお子さんが2人いて、お母さんの死に目にも会えなかった。3月1日に入院して3月2日に亡くなったので、子どもたちはそれっきりなのです。最愛の家族との別れがこんな形でいいのでしょうか。
13才の子は家では気丈に振る舞っていたようですが、学校でトイレにこもって号泣していたと。こんなに痛ましいことが、コロナ治療薬でも起きているのに、なぜマスコミには一切報道されないのでしょうか。
なぜレムデシビルの投与数がわからないままなのか
今回もう1つ疑問だったのは、いまだにレムデシビルが何名に投与されたのかの資料がないことです。レムデシビルはモルヌピラビルよりも早い段階で承認されたので副作用疑い報告も2021年12月分まで出ています(くわしくはこちら)。
なぜ、モルヌピラビルや他のコロナ治療薬では投与実績を2週間ごとに都道府県別で詳細に調べるのに、レムデシビルはないのか。調べてはいるが資料がないのか、調べてなくて資料がないのかわかりませんが、同じコロナ治療薬なのにこの差は一体なんなのでしょうか?
わかったこと
●レムデシビルは副作用報告はあるけど何人に投与されたかは不明
でした。この3年、毎日速報で感染者数を報道するようなコロナ感染症ですが、なぜ資料の揃い方がこのように杜撰なのか理解に苦しみます。
モルヌピラビルはラゲブリオともいいます
医薬品やワクチンには一般名と販売名があります。ややこしいですが、1つの薬やワクチンには2つの名前があると思ってください。今回のラゲブリオは販売名で、一般名がモルヌピラビル。ラゲブリオもモルヌピラビルも同じ薬を指しています。
※モルヌピラビルの公的資料はこちらのページに全部まとまっています。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/62500B6
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